共同住宅(長屋)の省エネの届出 必要な建物、ルートを選ぶ
こんにちは!
私は主に住宅の設計をしていまして、住宅の確認申請や外皮計算などは何度も提出したことがあります。
そんな中で先日、はじめてアパートの省エネの届出に挑戦しました。
教えてくれる人なんていないのでネットで調べまくってやっと提出できました。
アパートと言っても今回挑戦したのは「長屋」です。
長屋の省エネ届出とネットで調べても基礎を書いている記事が無く、少しばかり苦労しましたので記録としてブログに書こうと思いました。
私のように初めて省エネの届出を提出するという方に向けてルートの紹介や、長屋で提出する注意点などを書いていきます!
どこかの困っている設計士さんの役に立てば幸いです。
まず、住宅の用途で省エネの届出が必要になるのは延床面積が300㎡以上の規模の建物です。共同住宅、長屋も住宅の用途に含まれます。
着工の21日前に所管行政庁への届出が必要です。民間審査機関の評価書があれば3日前までで可という話もありますが今は置いておきます。
ただし、延床面積が300㎡でも外部の共用部の廊下やバルコニーなど外皮の外の面積は含まなくてよいです。
外皮内の延床面積が300㎡以上の場合に省エネの届出が必要になってきます。
そして、適合義務ではなく届出義務というところもポイント。
適合義務でないのであれば適合してなくても良いのか?という疑問を今回提出する市役所に問い合わせたところ、適合していないものを出されたことは無いですが…という回答でした。
なにはともあれ、届出が必要だ!となったらルートを選びます。
省エネの計算ルートには、
①標準計算ルート
②フロア入力法
③仕様ルート
の3種類があります。
改正建築物省エネ法オンライン講座 令和元年度改正建築物省エネ法オンライン講座テキストより
①の標準計算ルートは住宅の外皮計算でよく使っているのですが、
外皮の総面積を求めて、外皮平均熱還流率(Ua値)や冷房機、暖房機の平均日射熱取得率(η値)を計算で算出し、一次エネルギーの計算も行う1番正確な計算結果を求められるルートです。
次に②のフロア入力法ですが、これは令和2年から共同住宅の簡易評価方法として公表されたもので階ごとに性能を計算するというものです。
「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」のHPより、共同住宅フロア入力法計算プログラムを入手することができます。
住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラムHPより
しかし、ここで要注意なのが入力の解説の書面を読んでいると2層以上で構成される住戸を有する共同住宅はこのプログラムに適用することができないと書いてあります!
共同住宅フロア入力計算プログラム 入力の解説より
長屋は撃沈です。
③の仕様ルートは構造の審査でも仕様基準ってありますよね。
それと同じような感じで使用する断熱材が基準に適合しているか否かを見るだけのルートです。
「省エネ届出 仕様基準」と検索すると国土交通省の資料ライブラリーが出てきて、その中に仕様基準ガイドブックというものがPDFであります。
国土交通省 資料ライブラリーより
このPDFの中に仕様基準チェックリストがありまして、壁や床などの断熱材の熱抵抗を記入していき、適否を確認していくというものです。
私も最初、詳細計算をするのが面倒だったので仕様基準でなんとか提出できないかとチェックしてみましたが、これが意外と性能的に厳しい箇所があり断念…
たしか天井が適合していなかったです。
仕様基準は簡単な分、かなり有利な方で見てあるのでそれなりに性能が良くないと適合にはならないかもしれません。
ということでやはり、詳細計算ルートしかないな…ということで今回は外皮計算から一時エネの計算まで全て書類を作りました。
ちなみに私は福井コンピューターのアーキトレンドで外皮計算をしました。
物件の設定に共同住宅という設定があり、共同住宅の設定にすると界壁などを入力することができるようになります。
1住戸づつ外皮計算のデータを作って計算して、1住戸づつのUa値を算出しました。
(もっと効率的なやり方があったら誰かおしえて~;;)
そのほかの必要書類、図面などはこちらのテキストを参考にしながら作成しました。
改正建築物省エネ法オンライン講座の資料ライブラリーよりダウンロードすることができます。
改正建築物省エネ法オンライン講座HP 資料ライブラリーより
参考にしてみてください。